
この資料は、江戸の蘭学者達が集まって開いた新年会の様子を描いたもので、「芝蘭堂新元会図」と言われています。芝蘭堂とは、当時一流の蘭学者だった大槻玄沢(1757〜1827)が開いた蘭学塾のことで、沢山の知識人が集まり、蘭学の一大拠点になっていました。
寛政6年閏11月11日、玄沢はその日が西暦で「1795年1月1日」にあたる事から、芝蘭堂で新年会を開きました。そこに招かれたのが、帰国間もない大黒屋光太夫だったのです。図中の人物の中で、羽ペンを片手にロシア文字を披露している人物が光太夫です。光太夫は、床の間を背にした上座に座っており、正客に招かれての宴であったことがわかります。西洋の学問を学ぶ蘭学者にとって、実際にロシアを経験した光太夫の存在はとても貴重なものだったのでしょう。帰国後の光太夫は、様々な会に招かれては、ロシアや西洋の話をし、ロシア語を披露していました。
この資料の原本は重要文化財に指定されており、鈴鹿市で所蔵しているものは明治時代に模刻されたものですが、それでも全国で数点しか残されていない貴重なものです。

芝蘭堂新元会図(しらんどうしんげんかいず)
軸装 紙本 石版刷/ 明治35?
本紙1175×1088mm 寄贈資料
